N.Y.ジャズ見聞録 
セント・ルイスで復活!!

JEN (Jazz Educations Network)

第一回年次総会 Vol.1

 去る5月20日から5月22日にかけて、ミズーリ大学セント・ルイス校で、IAJE(国際ジャズ教育者協会)の、後継団体で先頃、設立されたJEN(Jazz Educations Network、ジャズ教育ネットワーク)の第一回年次総会が、開催された。多くの教育者、学生、プロ・プロミュージシャン、学校関係者、楽器メーカー、出版社が一同に会した、このコンヴェンションの模様を2回にわたって、お伝えしよう。


 JENは、2008年に志し半ばながら、その歴史を閉じてしまった、IAJEの後継団体。IAJEの末期には、ニューヨークでも、シェラトン、ヒルトンの2つのホテルを借りて、大規模なコンファレンスへと拡大していたが、今回は、夏休みの大学のキャンパスを借りての総会だった。IAJEの前身団体のNAJE(The National Assosiation for Jazz Education、ジャズ教育協会)の、1968年の立ち上げの頃を、彷彿させる雰囲気だ。


マーク・レヴィン(p)


JEN All Stars

 


ルー・フィッシャー(b)


ジョン・クレイトン(b)


シェリー・バーグ(p)

 一日目は、出版社や学校、メーカーのブースは、まだ立て込み中で、文化祭の前夜のような雰囲気が漂っている。レクチャーはすでに始まった。大小2つのホールを持つ、トゥヒル・パフォーミング・センターに向かった。ロング・セラー「ジャズ・セオリー」の著者マーク・レヴィン(p)が、その新著"Drop 2 for Pianists & Arrangers"を、ピアノの実演で解説していた。
 初日はスローだったが、夜になるといよいよコンサートが始まる。この日の目玉は、JEN All Starsと銘打った、ジャム・セッション。会長代行のルー・フィッシャー(b)と、副会長のジョン・クレイトン(b)が中心となり、セッションは進んでいく。ボブ・ミンツァー(ts)、ルーファス・リード(b)、シェリー・バーグ(p)ら教育者としても知られるプレイヤーから、ヴィクター・ゴーインズ(ts)、テレル・スタッフォード(tp)、メルヴィン・スタム(tp)ら、次々とステージに登場し、定番のスタンダード・チューンを演奏する。会場に詰めかけていた、未来のジャズ・ミュージシャンたちには、よいお手本となるパフォーマンスだった。
 続いて登場したのは、陸軍のジャズ・ビッグバンド”The Army Blues"。その、レベルの高い演奏には、いつも驚かされる。ゲスト・ドラマーのティム・デイヴィース(ds)をフィーチャーした、彼のオリジナル「カウンティング・トゥ・インフィニティ」は、なかなか聴き応えがあった。翌日には、軍楽隊出身者のトロンボーン・プレイヤーに、トム・ボーン・マローン(tb)をフィーチャーした、キャピタル・ボーンズも、出演する。


ボブ・ミンツァー(ts)

ルーファス・リード(b)

ヴィクター・ゴーインズ(ts)

テレル・スタッフォード(tp)

メルヴィン・スタム(tp)

トム・ボーン・マローン(tb)

ティム・デイヴィース(ds)

キャピタル・ボーンズ


The Army Blues

 2日目の5月21日は、朝9時からのセミナーで幕明けた。「ヴォーカル・インプロヴィゼイション」の著者である、ミッシェル・ウェイァーによる、ジャズ・コーラスを教えるインストラクターへの、素晴らしい演奏のための効果的なリハーサルの指導法のレクチャーである。ウォーミング・アップのやり方から、効果的なトレーニングまで、細かい解説がなされる。ウェイァーの学生で、最終日の午後に登場したカルフォルニア州立大ロサンジェルス校のビッグ・バンドのフィーチャリング・シンガーの、カヨ・シマヌキも登場し、デモンストレーションを行った。ウェイァーが、コーラスアレンジを担当した、アカペラ・グループ、”Sixth Waves"は、同日夜のコンサートのトップ・バッターとして登場し、その美しいハーモニーを楽しませてくれた。
 午後になると、もう一つの会場となっている学生会館であるミレニアム・スチューデント・センターで、いよいよ展示ブースもオープンし、コンファレンスは本格的に始動する。IAJEの時代に比べると規模縮小の感は否めないが、楽器メーカーのコーナーでは、プロや、アマチュア・ミュージシャンが、最新の楽器の試奏する音が聞こえ、増え始めた人々の雑踏とともに、お祭り気分が盛り上がる。出版社のブースには、前日のレクチャーの、マーク・レヴィン(p)や、今やジャズ教育のスタンダードとも言える「ジャズ・エデュケーターズ・ハンドブック」のジェフ・ジャーヴィス(tp)、ダグ・ビーチら著者の姿も、見える。遠くドイツからは、多くの教育書を出版しているアドヴァンス・ミュージックも出店していた。また、アメリカの大手、ハル・レナード、アルフレッド社も多彩なラインナップを揃えていた。バークリー音大や、南カリフォルニア大、セロニアス・モンク・インスティチュートなどの有名校のブースも並び、音楽での進学を考える高校生たちに、ガイダンスを行っている。またカフェテリアのステージでは、高校生、大学生のジャム・セッションに、ボブ・ミンツァー(ts)ら第一線のプロ・ミュージシャンも飛び入りし、学生たちに貴重な経験をもたらしていた。コンファレンスは、夜に向かって徐々に盛り上がり始めた。


カリフォルニア州立大ロサンジェルス校(UCLA

Sixth Waves


ミッシェル・ウェイァー(vo)


カヨ・シマヌキ(vo)


ミレニアム・スチューデント・センター

アドヴァンス・ミュージック社

マーク・レヴィン(右)、チャック・シャア(中央)
ロバータ・ラドリー(右)


アルフレッド社


バークリー音大

ダグ・ビーチ(右)
クレイグ・コーンウェル(左)

ハル・レナード社

南カリフォルニア大学



 

関連リンク

JEN 
http://www.jazzednet.org/