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2017/11/22
ATNではこれまで渡辺貞夫さんのアルバムに収録されたオリジナル作品を中心に楽譜化し出版してきました。「カムトゥディ」(2011年)以降は、ヴェテランサックス奏者・宮崎隆睦(たかひろ)さんにトランスクライブ(いわゆる「耳コピ」)をお願いしています。今回はいよいよ最新刊「リバップ」 の注目ポイントについて語っていただきます。以下は宮崎さんのコメントを編集部でまとめたものです。 これまでトランスクライブしたなかでもっともカラフルな楽曲かも 本作は、アルバムタイトルにもなっている《リバップ》から始まります。「ジャズライフ」2017年11月号の早田和音さんによる素晴らしいインタビューによれば、この楽曲はジョージ・ラッセルが提唱した「リディアン・クロマティック・コンセプト」も援用して、従来のビバップとはひと味違った提案ということで「リ」バップということになったようです。 もともとビバップはめまぐるしくコードチェンジを展開していくという特徴がありました。ぼく的には、ビバップの頂点を極めた作品としては《ジョイ・スプリング》だと思っているんです。 編集部注:夭折した天才トランペット奏者、クリフォード・ブラウン作曲の《ジョイ・スプリング》。村田浩(Trp)&澤田一範(Sax)というヴェテラン両氏によるTHE BOP BANDの演奏はこちらから! アルバム冒頭に収録されている《リバップ》は、これまでぼくが貞夫さんの音をトランスクライブする仕事をさせていただいたなかでもっともカラフルなコード進行の曲じゃないかな…タイトル通り、ビバップの新しい形を提案していると思うんです。ここまで激しく転調が行われている場合は、これまでなかったと思います。 前作「ナチュラリー」(2016年)から、貞夫さんの直筆楽譜がつきました。また、今回はアルバム収録されていない未発表曲《OUT FOR SMOKE》の自筆譜が収録されるということなので、そのあたりとても興味深いですが(編集部注:「OUT FOR SMOKE」に関して、本インタビュー時点では楽譜現物をお見せすることはできませんでした)とてもきれいな筆致で、楽譜をみているだけで貞夫さんの落ち着いた、あの笑顔が浮かんでくるような気がします。これもこのシリーズの新たな魅力の一つですね。 アマチュア管楽器奏者は、ついついメロディばかり追いかけてしまいがちだけど… ちょっと専門的な話をしましょうか。 前作「ナチュラリー」にはすべて冒頭に調号で各調が表示されていますが、今回のアルバムには調号をすべて臨時記号で対応している曲が4曲(《リバップ》《アイ・ミス・ユー・ホェン・アイ・シンク・オブ・ユー》《エイト・フィフティーン》《ホワイル・ユーアー・アウェイ》)あります。 ビバップスタイルのジャズは転調が多いので、調号をつけられないものが多く存在します。 例えば「リバップ」収録の《エイト・フィフティーン》は1-4小節めはE♭マイナー、5-8小節めはDメジャー、9-12小節めはDマイナー、13-16小節めはA♭メジャーみたいなことになります。 アルトサックス吹きとしてはついついメロディ部分だけを追いかけてしまいがちですが、コード進行もじっくり分析してみることとても勉強になります。 また、例えば手書き譜に付されたコードと、浄書されたコードが違う部分があります(例:新刊「リバップ」p45から掲載の《エイト・フィフティーン》など)。こういうのを発見すると、作曲した時点でのアイディアが収録の現場でどんどん変わっていったんだな…と思えて、どきどきしちゃいますね。 これらの楽曲はテンポも速いし、トランスクライブするのは大変なんじゃないか…と思われる方も多いかも知れません。ところが、一番難しいのは貞夫さんのバラードなんです …というわけで、次回は「ナベサダ流バラードの秘密」です。ひとまずの最終回!
ATNではこれまで渡辺貞夫さんのアルバムに収録されたオリジナル作品を中心に楽譜化し出版してきました。「カムトゥディ」(2011年)以降は、ヴェテランサックス奏者・宮崎隆睦(たかひろ)さんにトランスクライブ(いわゆる「耳コピ」)をお願いしています。今回はいよいよ最新刊「リバップ」
の注目ポイントについて語っていただきます。以下は宮崎さんのコメントを編集部でまとめたものです。
これまでトランスクライブしたなかでもっともカラフルな楽曲かも
本作は、アルバムタイトルにもなっている《リバップ》から始まります。「ジャズライフ」2017年11月号の早田和音さんによる素晴らしいインタビューによれば、この楽曲はジョージ・ラッセルが提唱した「リディアン・クロマティック・コンセプト」も援用して、従来のビバップとはひと味違った提案ということで「リ」バップということになったようです。
もともとビバップはめまぐるしくコードチェンジを展開していくという特徴がありました。ぼく的には、ビバップの頂点を極めた作品としては《ジョイ・スプリング》だと思っているんです。
編集部注:夭折した天才トランペット奏者、クリフォード・ブラウン作曲の《ジョイ・スプリング》。村田浩(Trp)&澤田一範(Sax)というヴェテラン両氏によるTHE BOP BANDの演奏はこちらから!
アルバム冒頭に収録されている《リバップ》は、これまでぼくが貞夫さんの音をトランスクライブする仕事をさせていただいたなかでもっともカラフルなコード進行の曲じゃないかな…タイトル通り、ビバップの新しい形を提案していると思うんです。ここまで激しく転調が行われている場合は、これまでなかったと思います。
前作「ナチュラリー」(2016年)から、貞夫さんの直筆楽譜がつきました。また、今回はアルバム収録されていない未発表曲《OUT FOR SMOKE》の自筆譜が収録されるということなので、そのあたりとても興味深いですが(編集部注:「OUT FOR SMOKE」に関して、本インタビュー時点では楽譜現物をお見せすることはできませんでした)とてもきれいな筆致で、楽譜をみているだけで貞夫さんの落ち着いた、あの笑顔が浮かんでくるような気がします。これもこのシリーズの新たな魅力の一つですね。
アマチュア管楽器奏者は、ついついメロディばかり追いかけてしまいがちだけど…
ちょっと専門的な話をしましょうか。
前作「ナチュラリー」にはすべて冒頭に調号で各調が表示されていますが、今回のアルバムには調号をすべて臨時記号で対応している曲が4曲(《リバップ》《アイ・ミス・ユー・ホェン・アイ・シンク・オブ・ユー》《エイト・フィフティーン》《ホワイル・ユーアー・アウェイ》)あります。
ビバップスタイルのジャズは転調が多いので、調号をつけられないものが多く存在します。
例えば「リバップ」収録の《エイト・フィフティーン》は1-4小節めはE♭マイナー、5-8小節めはDメジャー、9-12小節めはDマイナー、13-16小節めはA♭メジャーみたいなことになります。
アルトサックス吹きとしてはついついメロディ部分だけを追いかけてしまいがちですが、コード進行もじっくり分析してみることとても勉強になります。
また、例えば手書き譜に付されたコードと、浄書されたコードが違う部分があります(例:新刊「リバップ」p45から掲載の《エイト・フィフティーン》など)。こういうのを発見すると、作曲した時点でのアイディアが収録の現場でどんどん変わっていったんだな…と思えて、どきどきしちゃいますね。
これらの楽曲はテンポも速いし、トランスクライブするのは大変なんじゃないか…と思われる方も多いかも知れません。ところが、一番難しいのは貞夫さんのバラードなんです
…というわけで、次回は「ナベサダ流バラードの秘密」です。ひとまずの最終回!