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    BOOKS DATA -詳細データ-

    ヴォーカル・インプロヴィゼイション

    シンガーの表現を豊かにする

    ヴォーカル・インプロヴィゼイション

    定価5,250円(本体 5,000円+税)

    著 : Michele Weir
    翻訳 : 愛川 由香/愛川 篤人
    監修 : 吉野 美知子/木村 小百合

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    シンガーからヴォーカリストへ、この1冊で進化する!

    「シンガーとヴォーカリストって違うの?」

    英語と音楽を現場で使う職業柄か、いろいろな方にこの質問を投げかけられます。

    とても乱暴に直訳すると、シンガーは「歌い屋」、ヴォーカリストは「声つかい」になるのでしょうか。

    歌うとは節をつけて声を出すことですから、シンガーという言葉には「メロディに歌詞をのせて歌うひと」というニュアンスを感じます。歌詞の世界を伝えることに重心があるんですね。いっぽうヴォーカリストは、ピアニストやサキソフォニストと似たイメージがあります。「声を道具に音楽を奏でるひと」。歌詞のあるなしに関わらず、身体全体を使ってつくる声を道具に、音楽を奏でます。意味ではなく音そのもので、自分を表現することに重心を置きます。

    声を楽器にするというのは、なかなか難しいものです。鍛えても鍛えてもその日の体調や気持ちの動きで音は変わるし、無茶なメニューを組めば声帯を傷つけるリスクも負います。徹夜で歌詞を覚えたりしようものなら、本番はピッチが悪くて聞けたものではありません。笑

    楽器奏者はヴォーカリストと異なる難しさを抱えています。12のキーで演奏するためには12種類の異なる指使いを覚えなくてはいけないし、楽器によっては音を出すまでに長い時間を要するものもあります。言葉(歌詞) なしで感情を伝える表現力を得るために、毎日何時間もの地道な練習を積み重ねてステージに立つ人がほとんどです。

    本書「ヴォーカル・インプロヴィゼイション」の著者Michele Weirは、ピアニストとしても活躍するジャズ・ヴォーカリスト。Manhattan Transferなどのヴォーカル・アレンジや作曲をこなすかたわら、声を通して自分を表現する方法を世界中のヴォーカリストに伝えるエデュケーター(教育者)としてUCLAで教鞭をとっています。

    ピアノとヴォーカルという2つの楽器を操るMicheleの本は、ヴォーカリストが苦手意識を持ちがちなハーモニック・セオリー(音楽理論)を必要な分だけやさしく解説してくれるのが大きな特徴です。曲の構造を分析できるようになると、それぞれの種類のコードが曲のどのタイミングで現れやすいかを知ることができ、コードの種類やプログレッション(コード進行)を耳で聞き分ける際にも大きな助けとなります。ソング・フォームやリズミック・グルーヴといったジャズの基礎についての説明や、簡単なジャズ・キーボードの練習方法まで盛りだくさんに紹介されているため、ジャズ・ヴォーカルの概論を教えるクラスで教科書として使うには最適の内容です。グループ・レッスンで使えるゲームのアイディアや、生徒のレベルに合わせた本の使い分け方なども深く掘り下げられています。

    実際にインプロヴィゼイションを練習する部分ではブルース進行を例にとり、4つの段階に分けて徐々にメロディから離れていく練習をします。

    1. メロディと歌詞どおりに歌う
    2. 歌詞の代わりにシラブル(意味を持たない母音と子音の組み合わせ)で歌う
    3. リズムにバリエーションをつける
    4. メロディの装飾(5種類)を取り入れる

    それぞれの段階はページ数をたっぷり割いた説明が加えられているうえ、多くの実践的なエクササイズを掲載。付属CDの模範演奏とプレイ・アロングに合わせてエクササイズをおこないながら、あなたのレパートリーでヴォーカル・インプロヴィゼイションができるようになるまでのプロセスをサポートします。

    付属CDの中でも特に使いやすいのが、「コール&レスポンス」という手法をとったもの(トラック9、21など)。1~2小節ほどの短い模範演奏の後ろをついていくようにしてフレーズを真似しながら、読譜が苦手なヴォーカリストでもジャズ・インプロヴィゼイションに必要な要素を学習することができます。

    「ジャズ・インプロヴィゼイションは、他のミュージシャンたちと反応しあうことによって芸術的な音楽を作り出し、あなたの性格の創造的で自由な部分を解き放つもの」とMicheleは語りかけます。歌詞の世界からすこし外れて、ヴォーカリストとして音だけであなた自身を表現する楽しさに挑戦してみてはいかがでしょう?

    執筆者:木村小百合

    ~木村小百合 プロフィール~
    ヴォーカリスト。学習院大学を卒業後、渡米。2006年にバークリー音楽大学パフォーマンス学部(ヴォーカル専攻)を卒業。在学中からヴォイス・トレーニングの要素をとり入れた独自の英語発音メソッドをまとめ、2009年に「ボイシーズ」( http://voicease.com )を立ち上げる。TOEIC965点の英語力を活かし海外アーティストの取材やワークショップ通訳を務めるかたわら、現役のシンガーとしても勢力的にステージに立つ。守備範囲は昭和歌謡からロック、ソウル、ジャズまで多岐にわたる。

    「東京都内のジャムセッションにも頻繁に顔を出しています。興味のあるヴォーカリストのみなさん、一緒に行ってみませんか?yuri@voicease.com までご連絡くださいね。」