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イージー・ジャズ・コンセプション クラリネット
著:Jim Snidero (ジム・スナイデロ)
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リズム・トレーニング
著:大久保 宙
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【日本語翻訳解説書付属】The Jazz Singer’s Handbook
著:Michele Weir(ミシェル・ウィアー)
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12キーで練習するジャズ・ライン
著:Steve Rawlins (スティーブ・ローリンズ)
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イージー・ジャズ・コンセプション・シリーズ
著:Jim Snidero (ジム・スナイデロ)
人気のジャズエチュードシリーズ、イージー・ジャズ・コンセプション。
シリーズ全般の特長は、前回のレコメンドブックスで紹介しましたので、
今回は、改訂された テナー/ソプラノ・サックス編 の独自の内容について触れてみたいと思います。
このシリーズは楽器別に展開していますが、掲載しているエチュードの曲はすべて共通、
さらにアンサンブルでも練習できるように同じキーで書かれています。
著者のJim Sninero(ジム・スナイデロ)はアルト・サックス・プレイヤーなので、
テナー・バージョンのフレーズは、アルト・サックス用に作ったものを移調しています。
もちろん、キー/メロディはあらかじめ移調することを前提に設定されていますが、
この楽器ごとの移調こそが、テナー・バージョンでは大きなポイントなのです!
一概に“サックス”と言っても、アルトとテナーでは音域が異なり、音質にも異なる特徴がありますよね。
例えば、アルトならば伸びやかで華やかな中高音、テナーならば太く厚みのある柔らかい中低音など。
各エチュードを聴いてみると、アルト・バージョンでは伸びやかな中高音域のフレーズが、
テナー・バージョンでは1オクターヴ下のサブトーンに変わっている部分があります。
単純に音域の問題でオクターヴ下げざるをえない場合もあるのですが、これが重要!
エチュードのフレーズを移調することにより、
アルト・バージョンではサックスで簡単に出しやすい中音域がメインだったのに対して、
テナー・バージョンでは低音域(と一部高音域)が多く出てくるようになっています。
つまり、テナー・サックス特有の魅力がある中低音域を練習できるだけでなく、
サックス初心者全般が苦手な低音域・高音域も鍛えることができるんです。
サブトーンは、テナー・サックスでジャズを演奏する上で欠かせないテクニックですよね。
こうした“おいしい”ところまで練習できる分、アルト・バージョンより若干難易度が高めではありますが、
テナーらしい音色や表情を目指して練習したい初心者には、ぴったりの練習教材です。
初心者のみなさん、苦手なところは避けるのではなく、
むしろ積極的に練習に取り組む、前向きな姿勢が大切ですよ!
そして最後に、付属CDの模範演奏でテナー・サックスを吹いている
Eric Alexander(エリック・アレキサンダー)のプレイがすばらしいのも大きな特長です。
初心者向けのシンプルなエチュードでも、音の表情のつけ方ひとつで本物のジャズになる様子がよくわかります。
なんといってもこの付属CDが最大のセールスポイントであり、これだけでも聴く価値あり、です。
補足になりますが、サックスを演奏する上で、音質はとても重要な要素。
管楽器=吹奏楽器、息を吹き込んで音を鳴らす楽器なので、
正確なエアーのコントロールを身につけることが上達のポイントです。
そのためには、エチュードに加えて、倍音(オーバートーン)を練習しましょう。
『サウンド・メイクのための トップ・トーン・フォー・サクソフォン』は、
ジャズやクラシックなどジャンル問わず、世界中で使われ続けている名著です。
もちろん、テナー・サックスに限らず、あらゆるサックスで使うことができますよ。
執筆者:佐藤 研司
サクソフォン・プレイヤー、コンポーザー、アレンジャー、
リディアン・クロマティック・コンセプト公認講師。
バークリー音楽大学にて、ジョー・ヴィオラ、ジョージ・ガゾーンらに師事した後、
ジョージ・ラッセルのもとに学び、リディアン・クロマティック・コンセプトの公認講師資格を得る。
1998年に帰国以来、さまざまなシーンでパフォーマー、音楽講師として活動中。
トラディションは大事にするが、何でもありの自然派アーティストを目指し、
自作楽器での演奏なども行う。また、ATNの海外教則本、DVDなどの翻訳を担当。