学習院大学文学部哲学科を卒業後、渡米。3年半の滞在でTOEIC970点の英語力を取得し、バークリー音楽大学(Berklee College of Music)パフォーマンス学科、ヴォーカル専攻(Performance Major, Voice Principal)で卒業。在学中から音楽と英語、発声と発音の深いつながりに興味を持ち、特に日本語を母国語に持つ日本人固有の発声、発音、話し方の傾向を研究。日本人が「通じる英語」を喋るために必要な「筋肉」「耳」「脳」の3つを総合的に鍛えるトレーニング法を考案し、えいご発音塾 こまば音庵で指導する。
各方面から飽きるほど聞かされたとは思いますが、個人練習でもバンドのリハーサルでも、メトロノームを聞きながら練習するのは上達への近道です。「クリックを聞いていると、どこを吹いているのか分からなくなる…」とボヤいた方、あなたのための一冊がありますよ!
「 パーカッション、ドラムス、すべてのプレイヤーのための リズム・トレーニング 」は、打楽器を始めたばかりのプレイヤーと打楽器を始めたいすべてのプレイヤーが、はじめの一歩からリズムの基本をマスターすることのできる本です。すべての音符と休符の読み方がひと目でわかるミラクルチャート(全4ページ)と模範演奏CDがついているので、楽譜なんて読めなくても大丈夫。とにかくメトロノームを譜例に書いてある通りに合わせて、出てくる楽譜をがっすがす叩きましょう。楽譜は五線譜ではなく、1~3本のライン上に書かれています。線の多さは音色の違いを表しているので、私はラインの数だけ本を用意して、はいココが一番高い音、これが真ん中、こっちは低い音。というように自分ルールを作ってパタパタ叩きました。最初は太ももを叩いていたのですが、必死になりすぎてジンジンしてきたので慌てて止めました。余談ですが歌いながら小物(シェイカー、タンバリン、ギロ、カウベル 笑) を演奏するんですが、タンバリンって太ももの外側にもーのーすごいアザできるんですよ!中段蹴り食らったみたいなビジュアルです。面白すぎて人に見せたくなる。笑
さて、譜例を練習するうえで1つだけ注意したいのが、メトロノームと完全に合うまで次に行かないことです。自分の叩くリズムとメトロノームがぴったり一致すると、メトロノームの音って消えるんですよ!ご存知でした?その感覚がわかるようになるまで、じーっくりやってみましょう。楽譜の見た目は簡単でも、そこまで厳密にリズムを叩き出すのは生半可なことではありません。16分より四分を叩くほうが難しく感じるでしょう。上級者は同じテンポをパタパタと叩くだけの練習と機械的にやっつけるのではなく「コレどうやったらもっと音楽的になるかなあ…」とクリエイティブな脳を働かせてもらいたいです。リズムやピッチでアクセントをつけられない時、どのようにフレーズを歌わせたらよいかという素晴らしい練習になりますよ。
リズム・トレーニングが実際のプレイにどう役立つかは、この本を練習してみればすぐに分かるでしょう!まず、リズムに対する感覚が鋭敏になるので、他の人と音を合わせやすくなります。さらに、自分の演奏するフレーズがどんなに難しくても、回りの音が聞こえなくなって走ったりモタったりすることが減ります。楽譜の難しさに引きずられてテンポが見えなくなるのは、メトロノームの感覚が身体の中に育ちきっていないからなんですね。最終的にはジャズやファンクのグルーヴが、メトロノームのリズムから微妙に前後に揺れているという驚愕の事実に気付き、なーんだジャズのレイドバックってこれかあ!という目からウロコの気付きを得ることができます。笑
リズムが良くないと言われて悩んでいる方、自分の出番ではない時でもステージに立っていたい方、個々のスキルは悪くないのに何だかサウンドがまとまらないと首をかしげる顧問の先生やバンドリーダー、新しいアプローチでサウンドの向上を図ってみませんか?
「メトロノームを聞くなんてあたり前」と思われた方、今度はクリック(メトロノームのカチカチいう音)を裏拍(4分の4拍子を8つの8分音符に分割したときの偶数個め)として演奏してみましょう☆楽しさが2倍になります。その練習も日々の基礎練のなかに組み込まれている素晴らしいプレイヤーさんには、「 メロディ楽器のための リズミック・フレージング・フォー・インプロヴィゼイション 」をおすすめします。笑っちゃうほど難しいですが、インプロヴィゼイションに役立つリズムのバリエーションの宝庫です。
楽譜に書かれたことを演奏するだけが音楽ではないと思うんです。みんなの音をひとつにするために試行錯誤して、時には回り道のようにも見えることをやってみて、わあわあ言いながらリハーサルしたり、終わってから大騒ぎしたりするのも全部楽しいですから。努力はかならず実ります。サウンドの向上に行き詰まりを感じる方、ジャンルを問わず皆さんにおすすめです。
執筆者:中島(木村) 小百合
アメリカ英語発音講師、音楽通訳
安心して学べる環境を提供するためクライアントの希望に応じてNDA(秘密保持契約)を結び、レッスン中の話題や情報のすべてについて秘密の厳守を徹底。CM作曲家、メジャー歌手、ドラマ俳優、上場会社役員、通訳、英語講師などから厚い信頼を得ている。