HOMEレコメンドブックス ≫ サックスで演奏する J.S.バッハ/6つの無伴奏チェロ組曲

  • ATNオンラインショッピング

    営業日15時までのご注文は当日発送!航空便利用で翌日にはお手元に!(一部地域除く)

  • 曲目索引

    ジャンルごとに索引で曲を探せます

  • レコメンドブックス

    プロが教える教則本の選び方・使い方

  • スタッフブログ

    ATNの関連ライブ&イベント情報など

  • ATNのfacebookページ
    お待ちしています

ATNスタッフのつぶやき

ATNの速報情報やスタッフのリアルな日常をつぶやき中!あなたからのフォローをお待ちしています。

ATN学習ガイド

あなたのレベルにあった教則本・楽譜を難易度別チャートでご紹介しています。

インプロヴィゼイションの難易度チャートを見る
ギターの難易度チャートを見る
ベース&弦楽器の難易度チャートを見る
ドラムス&パーカッションの難易度チャートを見る
ピアノ/キーボード、ヴォーカル、鍵盤打楽器の難易度チャートを見る
管楽器の難易度チャートを見る

ベストセラーから新しい活用方法まで、ATN商品と音楽を楽しむアイディアをご紹介 レコメンドブックス

BOOKS DATA -詳細データ-

サックスで演奏する J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲

サックスで演奏する J.S.バッハ/6つの無伴奏チェロ組曲

定価2,700円(本体 2,500円+税)

著 : Trent Kynaston (トレント・キナストン)
翻訳 : 佐藤 研司
監修 : -

オンラインショップはこちら

音楽史に燦然とその名が輝く楽聖、ヨハン・セバスチャン・バッハ。18世紀に活躍したバッハは、19世紀後半に生まれた楽器であるサックスを知らずにこの世を去った。ここでご紹介するのは、楽聖バッハの名作「無伴奏チェロ組曲」全6章を、アメリカは西ミシガン大学で教鞭を執るサックス奏者、トレント・キナストンがサックス用にアレンジして1冊にまとめたもの。譜めくりを考えたていねいな編集も便利です。アリゾナ州立大学で学位を獲得した後、サックスの本場であるフランス国立ボルドー音楽院を首席で卒業した彼は、ジャズとクラシックの「両刀使い」として活躍する猛者で、ウェブサイト(英語)を見る限り、かなりなマニアックとおみうけしました(なんせ、あのスタン・ゲッツ御用達のセルマーを所持しているらしい)。サックスにぴったりの音域にアレンジされ、弦楽器特有の重音は装飾音で表現されている。そうそう、最低音のシ♭が頻出するから、低音が苦手なひとのエチュードとしても効果的かもしれない。分散和音の練習にはぴったりだし。

弦楽器のために書かれた作品を管楽器でやるなんて邪道だ…なんて思っていると、当のバッハから笑われちゃうかも。だってバッハの最後の作品「フーガの技法」なんて、事情はともかく自筆譜には楽器の指定なんかぜんぜん書いていない。それはたぶん「なんでもいいから好きなように弾いてくれ!」ってことだったんじゃないかとみんなが考えて、いろんな楽器のためにアレンジされてるから、この「チェロ組曲」のサックス版があったってぜんぜんおかしくない。というより、そのほうが楽聖も草葉の陰で喜ぶ、っていうもの。いや、むしろ平成日本に暮らす楽器族としては、サックスによる新鮮な演奏をバッハの墓前に捧げる、くらいの意気込みが欲しいものだよね。

他にも、クラシックの作品をサックスで楽しめるアレンジは、ATNのサイトでいろいろ扱われていて、

 同じバッハの「2声のインヴェンション」  同じチューニングのサックス用  アルト/テナー・サックス用
  ピアノのおけいこでよく知られた一曲。冒頭を聞けば「ああ、あの曲ね!」と誰もが微笑む、可愛い曲です。

 三人で楽しめるバッハの「トリオソナタ
  オルガンの原曲をサックス3人で楽しめるようにアレンジされたもの。
  マイナーなメロディで始まり、荘厳なフレーズの追いかけっこが楽しめる一曲。

その他にも、とにかくたくさん。クラシック好きのサックスプレイヤーも、きっと満足できるはず!

バッハの作品はさまざまな楽器にアレンジされている、と言ったけれど、この楽曲に挑む楽器族もまたさまざま。クラシックの世界だけではなく、渡辺貞夫さんや清水靖晃さんなど、先鋭的なジャズミュージシャンが挑戦し、素晴らしい成果をあげてきた。特に、国内の手練たちを集めた清水氏のプロジェクトは大谷石の採石場やイタリアの古いお屋敷の豊かな残響の元で収録されており、インターネットでもその一部を確認できる。(YouTube

参考までにもうひとつ。もともとこの組曲は「チェロ」ではなく、現在には残っていない弦楽器のためにつくられたという説もある。本書の解説には、バッハ自身が考案した「ヴィオラ・ポンポーザ」のために書かれたのでは、という説も紹介されているが、ここではその「ヴィオラ・ポンポーザ」と同様の楽器と推測されている弦楽器「ヴィオラ・ダ・スパッラ」での演奏を紹介しよう。抱えて演奏する小型のチェロ、みたいな珍楽器で、意外といい音がする。「楽器族。ブラストライブ」で2011年の弦楽器フェア取材時の映像はこちら

というわけで、いろいろご紹介してきましたが、最後に変り種をひとつ。有名な「くるみ割り人形」組曲から5曲を選んで、ジャズアレンジしたのが下記。

  くるみ割り人形(サックス・カルテット用)  くるみ割り人形(木管カルテット用)

インプロヴィゼイション(アドリブ)も模範例が書き込まれていて、ジャズに不慣れな初心者でも楽しめる親切構成がうれしいシリーズ。よくある「なんちゃってジャズ」ではなく、本格的なジャズ書法で書いてあるから、マニアックな楽器族なら挑戦して損はない。ぜひお試しあれ。

執筆者:榎本 孝一郎

~榎本 孝一郎 プロフィール~

1958年東京生まれ。中学時代からアルトホーン(のちにユーフォニアムやコルネット、トランペットに転向)で音楽に親しむ。音楽之友社に24年勤続ののち独立し、現在は管楽器のための季刊誌 「楽器族。ブラストライブ」 編集長。アダム・ラッパをはじめ、国内外の管楽器プレイヤーへのインタビューや楽器メーカーへの取材を通じ、ひとりでも多くの楽器族(「ブラストライブ」誌ではプロアマを問わず、楽器を愛する人をそう呼びます)の「楽器魂」に火をつけることをミッションとしている。