
コード/メロディの魅力を引き出す
ジャズ・ギター ドロップ2ヴォイシング
定価4,536円(本体 4,200円+税)
著 : Randy Vincent(ランディ・ヴィンセント)
翻訳 : 石井 貴之
監修 : 井上 智
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イージー・ジャズ・コンセプション クラリネット
著:Jim Snidero (ジム・スナイデロ)
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リズム・トレーニング
著:大久保 宙
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【日本語翻訳解説書付属】The Jazz Singer’s Handbook
著:Michele Weir(ミシェル・ウィアー)
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12キーで練習するジャズ・ライン
著:Steve Rawlins (スティーブ・ローリンズ)
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イージー・ジャズ・コンセプション テナー/ソプラノ・サックス
著:Jim Snidero (ジム・スナイデロ)
ほとんどの読者が「ドロップ2ってなに?」とか「聞いたことはあるけど、、、」という感じでしょうが、
僕が15年ほど前にバークリーの個人レッスンで最初に学んだのがドロップ2でした。
ジャズに限らず、ハーモニーを学ぶ上で基本の部類に入るドロップ2ですが、
日本の教育現場や教本でその名が聞かれるようになったのはここ数年ではないでしょうか。
その理由は、ほとんどの講師や教本が、コードの形を暗記することで
ヴォイシング(音の重ね方)のバリエーションを増やすように教えてきたからでしょう。
しかしそれでは暗記に頼り、コードの形を忘れないように常に復習し続けなければなりません。
また前後のコードを美しくつなぐヴォイス・リーディングや、
即興的にコード/メロディを弾くことも困難になってしまいます。
*コード/メロディ=1本のギターで、コードで伴奏をしつつメロディを弾くこと
では「コードを美しくつなぐヴォイス・リーディングや、即興的なコード/メロディ」と聞いて
思い浮かべるプレイヤーは誰でしょう?
ギターならば、僕は真っ先にジョー・パスだと答えます。
ジョー・パスのようにコード/メロディを弾けるようになるためには、代理コードの使い方はもちろんですが、
メロディに対しどのようなコード・ヴォイシングを付けるか、という判断を瞬時に行う必要があります。
ここで、ほとんどのプレイヤーにとって最大の問題点は
コードのルートやベース音を元にしてヴォイシングを作っている、ということです。
これでは常にルートがベースになるバレーコードのようなヴォイシングになってしまうし、
メロディに対し適切なヴォイシングを瞬時に付ける能力は育たないでしょう。
そこにドロップ2を学ぶ意味があるのです!
例えばCMaj7の場合、1357というコード・トーンを使ってヴォイシングしますが、
そのまま順番に積むと、ボトムがルートでトップがメジャー7thのクローズ・ヴォイシングと言って、
1オクターヴ以内に密集するコードになります。
そこで上から2番目の音(1357の場合は5th)をオクターヴ下げ(ドロップし)
5137というヴォイシングにすると、ボトムとトップのインターヴァルが広がり10度になります。
これにより、適度な広がりとボトムとトップに3度(10度)のハーモニーが生まれ、安定感のあるサウンドになります。
(ルートがトップになる7351の場合は10度にならないので注意が必要です。)
その他、テンションの入れ方など詳しくは本書で!
さて、その覚え方ですが、トップ・ノート(メロディ)を元にして、そのひとつ手前のコード・トーンが必ずボトムに来ます。
つまり、5137ならばトップが7thで、ひとつ手前(1357と並べたら)の5thがボトムになります。
他のどのドロップ2ヴォイシングも同じように並ぶので、まずトップとボトムの外枠を固めてから内声を探すとよいでしょう。
ヴォイシングで最も大事なのはトップです!
なぜなら一番よく聞こえる音であり、メロディでもあるからです。
その音をフィンガーボードのどこで弾くのかを決めてからすばやくヴォイシングをすることができるかどうか、
これがジャズ・ギター初級者から中級者への壁ではないでしょうか!?
本書で学ぶことで、どんなメロディでも(それがテンションや経過音であろうとも)
コード/メロディに変えることができるようになります。
それもただ、たくさんのヴォイシングを暗記するのではなく、作り方を順番に理解しながら。
このように自分でシステムを理解しながらヴォイシングを創り出すことで、
即興的にヴォイス・リーディングやコード/メロディができるようになります。
偉大なジョー・パスやウェス・モンゴメリーなどと同じ立場でヴォイシングを眺めることができるようになるでしょう!
~イシイタカユキ プロフィール~
神田外語大学在学中より、講師活動、ジャズクラブでの演奏、レコーディングを経験し、
同大学を卒業後に渡米。ボストンのバークリー音楽大学、ニューイングランド音楽院にて、
Wayne Krantz、Maria Schneider、Bob Brookmeyer等に師事、Lage Lund、
Jeremy Pelt 、Jaleel Shaw、Lionel Louekeなどとセッションを重ねる。
帰国後は東京を中心に活動し、市野元彦、小沼ようすけ等と共演。
ジャズ以外では、永山マキ、モダーン今夜、jimama、益若つばさ、AKB48、
ディズニーからクラシックまで、多数のレコーディング、ライヴに参加。
現在はギタリスト、バンド活動と並行して、石井ジャズギター教室主宰、
ギター教則本の執筆、ATNのスーパーヴァイザー兼、翻訳・監修者としても活動している。