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BOOKS DATA -詳細データ-

トロンボーンのための コーディネーション・トレーニング・プログラム

息、唇、舌をコーディネートする

トロンボーンのための コーディネーション・トレーニング・プログラム

定価2,484円(本体 2,300円+税)

著 : Bart van Lier (バート・ファン・リール)
翻訳 : 池田 雅明(補訳:山口 紀子)
監修 : 品川 隆

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身体全体を使って吹けばうまくいく!

コーディネーション」っていう言葉がこの分野に使われるのはおそらくはじめてなんじゃないだろうか?コーディネーション(名詞形)はコーディネイト…誰ですか、コーディネイトはこうでねえと…などと駄洒落を言っているのは?

閑話休題。つまりこの本は、副題にある3つの要素をうまいことリンクさせるためのプログラムなのです。ATNにしてはめずらしく?CDはついていないけれど、それでも大丈夫。わかりやすい文章と、まるでキース・ヘリングみたいなほほえましいイラスト(必見!)。そして、本書には、「言葉」がたくさん出てきます。ひとつの音を吹く際に、具体的にどうすればいいか、というシラブル(DAとかHAとかいう表記で発音を示す)指示であったり、さらに具体的に「笑いの息」「馬が鼻を鳴らす音」などの、本書特有の用語はきわめてユニーク。CDはないけれど、さまざまな「言葉」で、トロンボーンを吹く際の「体の目覚め」を誘いだそうとするのが本書のたくらみです。

・・・体の目覚め?そう、管楽器を吹くことは全身運動で、しかもこのトロンボーンという楽器は、腕でスライドを動かす、という意味では、吹奏行為にもっともダイナミックな運動をともなう楽器のチャンピオンなわけで、ヴァイオリンなどの擦弦楽器軍団とともに(あれらも弓をダイナミックに動かしますね)体全体をひとつの有機体ととらえた上で訓練することが上達のためには不可欠な楽器なのだ、といえましょう。

著者のバート・ファン=リール(実は現地のオランダ語とは微妙に違うけど、この表記に統一することが本書刊行時に全国的に決定)は、オランダが世界に誇る達人トロンボーン奏者。1950年生まれの彼は、今も演奏に指導にと全世界を飛び回りつつ多忙な日々を送っています。兄のエリックさんなどとともに収録したアルバム「ファースト・ブラスFirst Brass」は金管楽器4人だけとは信じられないビッグ・サウンド&グッド・フィーリングなジャズを堪能させてくれます。
(なお、このCDは TAKASHIBRO ONLINE SHOP から購入可能です)

本書にかかれていることは、実はほとんどすべてがほかの金管楽器にも応用可能なことです。トロンボーン奏者がこの著作を完成させた、ということは非常に象徴的なことに思えます。彼らは常に、自由自在に動くスライドを操作しながら演奏するわけですが、このスライドってのは難物で、吹いている本人には「想定外」のポルタメントやグリッサンドがかかってしまうことが多いのです。つまり、ドレミファソラシド…と、ピアノみたいなイメージで音がつぶだちよく並ぶ、のではなく、慣れないと音と音の間に妙な音が混じって、できそこないの心太(ところてん)みたいな音階になってしまうことがあるのです。そうならないために、トロンボーン奏者は誰もが無意識のうちに息と唇と舌と(そして体全体の動きも)コーディネイトさせているのですが、その実際的な側面を極限まで詳しく書き込んだのが本書のユニークなところ。

たとえば「フォルス・ポジションによるフェイク・ノート」という表記がされていますが、直訳すれば「間違ったポジションによるまやかしの音」(笑)。これはどういうことか。日本のトロンボーン奏者のあいだでは俗に「強制振動」と呼ばれている、正規のポジションではないスライド位置で強制的にある音を鳴らす訓練(エクササイズ9)のことです。ピアノとは異なり、唇の振動で音を鳴らす金管楽器は、習熟すれば唇と息との合体ワザ(これが「コーディネーション」という言葉の真髄なのです)で、教科書どおりの指使いやポジションでなくてもかなりの自由度をもってさまざまな音を鳴らすことが可能なのです。ハーフ・アンブシュア(唇をマウスピースに触れさせるか触れさせないか、ぎりぎりの状態に保つ)による訓練(エクササイズ5)も同じです。

本書は、プロがこっそりやっている秘密練習をかなりのところまでさらけだした名著です。初心者から上級者まで、基礎的な発音訓練をイチから見直すための絶好の1冊といえるでしょう。

執筆者:榎本 孝一郎

~榎本 孝一郎 プロフィール~

1958年東京生まれ。中学時代からアルトホーン(のちにユーフォニアムやコルネット、トランペットに転向)で音楽に親しむ。音楽之友社に24年勤続ののち独立し、現在は管楽器のための季刊誌 「楽器族。ブラストライブ」 編集長。アダム・ラッパをはじめ、国内外の管楽器プレイヤーへのインタビューや楽器メーカーへの取材を通じ、ひとりでも多くの楽器族(「ブラストライブ」誌ではプロアマを問わず、楽器を愛する人をそう呼びます)の「楽器魂」に火をつけることをミッションとしている。

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