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イージー・ジャズ・コンセプション クラリネット
著:Jim Snidero (ジム・スナイデロ)
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リズム・トレーニング
著:大久保 宙
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【日本語翻訳解説書付属】The Jazz Singer’s Handbook
著:Michele Weir(ミシェル・ウィアー)
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12キーで練習するジャズ・ライン
著:Steve Rawlins (スティーブ・ローリンズ)
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イージー・ジャズ・コンセプション テナー/ソプラノ・サックス
著:Jim Snidero (ジム・スナイデロ)
※人気のヴォーカル教則本「ザ・コンテンポラリー・シンガー」が、大幅加筆され、改訂版となって新登場しました。以前のレコメンドブックスについては、こちら をご覧ください。
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ヴォーカリストは身体と声を楽器として駆使し、言葉と旋律で音楽を表現します。普段誰もが使う声が楽器ですから、ヴォーカリストになること自体は簡単です。しかし自分の身体を楽器にするということは、数秒ごとに形を変える何十種類もの細い筋肉を繊細に操作して音を出すということです。体調や気持ち次第で音色もチューニングも揺れる不安定な楽器ですから、ステージやレコーディングで歌うためにはさまざまな準備が必要になります。
本書 現代的なヴォーカル・スタイルのための 改訂版 ザ・コンテンポラリー・シンガー は、ボストンにあるバークリー音楽大学ヴォーカル学科の必修科目「Elements of Vocal Technique」のテキストです。ヴォーカル学科長である著者Anne Peckham(アン・ペッカム)は、ジャズ、ブルース、ラテン、ロック、ポップ、R&B など、さまざまな音楽スタイルで上達を目指すヴォーカリストに対してトレーニングと指導を重ねてきました。ヴォーカリスト本来の声を見つけ、磨き上げるために必要な知識とトレーニングのすべてがこの1冊に凝縮されています。
たとえば高い声が出ないと悩むシンガーがいたとします。彼は声がすぐに枯れてしまうことでも苦労しています。彼の問題を一緒に解決してみましょう。
彼は力まかせに腹筋を使って歌う癖があり、ごく薄い膜でしかない声帯に強すぎる息をぶつけるせいで喉が痛むようでした。Chapter 3 喉頭 を読むと息が声になるまでの仕組みがわかり、効率よく息を声に変えるためには今よりも少ない量の息をコントロールする必要があると気付きました。CDに収録された開始音のエクササイズ(音の出し始めで力まないための練習)を毎日の練習メニューに加えると、徐々にではありますが喉の痛みもやわらいできました。
自分の声を録音してよく聞いてみると、地声だけで1曲を歌いとおそうとしていて、問題の高音域では声が弱々しく裏返っていました。力強い高音域を出せるようになるためには、高音域を歌うときの身体の響かせ方を知っておく必要があります。音の高さによって身体の響かせ方が変わるようすを解説する Chapter 5 声区とブレンディング の項を学ぶと、自分の声が「地声」と「裏声」ではなく、「頭声(ヘッド・ヴォイス、高音部)」と「胸声(チェスト・ヴォイス、低音部)」という2つのグループで捉え直せるようになりました。息のコントロールと並行して、頭声と胸声を滑らかに繋げるエクササイズを増やすと、弱々しかった高音域に少しずつ力強さが加わるようになり、半年後には声の裏返りが感じられなくなりました。
また、選んだ曲を原曲キーのままで歌うことにこだわりすぎて、彼の声が持つ本来の良さが失われていることにも気付きました。Chapter 8 声の健康管理 を読むうちに、原曲の通りに歌うことがゴールではなく、自分の声という楽器でしか表現できないものを追究することが大事なのではないかと思うようになり、他のヴォーカリストとは違う自分の良さを見つけることに多くの時間を割くようになりました。さまざまな音楽スタイルを聞き、これまでに歌ったことのないスタイルの曲にも挑戦するようになり、人まねではないヴォーカリストとしての自分の存在が確かになりました。
独習者がここまでスムーズに原因の特定や対処をすることは難しいかもしれませんが、本書にはヴォーカリストが声を作るさいに知っておくべき情報がすべて書かれています。呼吸が声になるまでの解剖学的なメカニズム、話し声を歌声に変えるために必要な「共鳴」(身体全体を使って声を響かせること)の解説、毎日の練習メニューの組み方、声の管理方法、オーディションやパフォーマンスへの心構え、あがりへの対処などのさまざまな項目をじっくりと読み進めながら、CDと一緒にエクササイズやワークアウト(実践的なボイストレーニング用メロディ・パターン)に取り組み、あなたの声とじっくり向き合う時間を作ってみませんか?
大幅に改訂された第2版のいちばんの目玉は、56トラックにおよぶ膨大なワークアウト(実践的な練習用)音源の追加です。これまで全国の専門学校や教育機関でテキストとして使われてきた本書ですが、「教科書としては申し分ないけれど、本文と付属CDだけでは実際のヴォイス・トレーニングのメニューが組みにくい」という声がありました。第2版でその声に応えて追加された56トラックは、これまで本書の実践書だった 初心者から上級者まで コンテンポラリー・シンガーのためのヴォーカル・ワークアウト のノウハウがそのまま組み込まれたような効果的なエクササイズばかり。1つひとつのワークアウトにはクリアな目標 (ミックス・ヴォイスをうまく出せるようにする、ヴィブラートをつくる、大きな音の跳躍にもピッチを外さず正確に、柔軟に対処できる、など) が定められているので、やみくもにボイトレをするだけでは決して得ることのできない効果を実感できるでしょう。また、初版から現在に至るまでに発展したヴォーカル研究の最新情報も紹介されています。ヴォーカリストが最も知りたい「裏返らない強くて高い声をつくる」方法や、「結局のところ地声と裏声はどう違うのか」という疑問への解答、「ボイトレをするとクラシック歌手のようになってしまいそうで嫌」というヴォーカリストへの提言など、ヴォーカリストが一番知りたい疑問やボイトレの効果、声の扱い方などについてさらに詳細な説明が加筆されました。レッスンやクラスで長い時間をかけて、じっくりと取り組むことのできる濃い内容が凝縮された1冊です。
さらに新しくなったザ・コンテンポラリー・シンガー、世界中の音楽大学や専門学校で教科書として愛用されているヴォーカル教則本の決定版で、自由な楽器と新しい表現を手に入れましょう!
執筆者:中島(木村)小百合
アメリカ英語発音講師、音楽通訳
安心して学べる環境を提供するためクライアントの希望に応じてNDA(秘密保持契約)を結び、レッスン中の話題や情報のすべてについて秘密の厳守を徹底。CM作曲家、メジャー歌手、ドラマ俳優、上場会社役員、通訳、英語講師などから厚い信頼を得ている。